2007年4月29日
北九州エリアの様子

第2第3エリア
今日も何とか暗くなる前、夕方に北九州エリアに到着する事ができました。福岡からの倍の距離となった唐津⇔北九州間。何とか明るい時間に北九州へ来ることもままならない大忙しの毎日です。今週もチィちゃん2にお薬を飲ませられたら…と第2第3エリアを捜索しましたが誰にも会えませんでした・・・。
第1エリア
第1エリアも相変わらずもぬけの殻です。もうココには居ないと分かっていても、もしかしたら、もしかしたら…とココへ来ては涙しています…。
設置されていた捕獲器も、もう撤去されていました。探しては探しては最後には又「もしかしたら…」と第1エリアに戻って来てしまいます…。もうココには居ないのに…。会えない日々、苦しい時間だけが流れています。
第4エリア
第4エリアの捜索では第4エリアとは少し離れた場所となりましたが会うことが出来ました。飼われている子も飼われていない子もお腹ペコペコだったようで、がむしゃらにご飯を食べました。どれだけご飯を準備していけば良いのか…食べても食べても食べ足りないみんなです。
写真の黒いワンちゃんは目に木を突き刺された希望ちゃんの兄妹ですね。希望ちゃんにそっくりです。どの子も助けてあげたい…。だけどそれは本当に大変な事…簡単ではありません。第4エリアの子達と最初に出会ったときに居た、最近捨てられたという一番のチビ犬は何処にもいませんでした。誰かに連れて帰ってもらえたのかな?事故とかじゃない事を祈るばかりです…。
第4エリアの子達にご飯をあげていたら、突然みんながワンワン!と吠え始めました。ん?と思って少し先を目を凝らして見て見たら、ビックリしました。そこには第1エリアのサンカク君がいたのです。
逃げ隠れするサンカク君。急いでサンカク君の元に犬缶を持って走りました。第4エリアの子達とも交流があるようで仲の良い子もいるようでした。そしてサンカク君が居るという事は第1エリアの皆もこの辺りに居るのではないかと期待に胸を膨らませ、第4エリアの子達にしっかりご飯をあげてサンカク君を追跡!
そして第1エリアのお父さんに会えました。お父さんの様子がおかしいけど辺りが暗すぎてよく見えず、何とかお父さんであることを確認するのが精一杯でした。警戒して逃げようとするので、慌ててご飯をドバッとあげて引き付けました。今日は支援者のサクピーさんから北九州の子達に手作りご飯を作って頂きましたので、久しぶりの手作りご飯に夢中になって食べてくれました。その間に車をUターンさせ車のライトで照らして様子を確認しました。すると写真では確認しづらいですが片目が腫れ上がって真っ赤になっていました。とても痛そうで何とかしてあげたいと思いましたが、どうにも捕まりませんでした。
途中途中、目を気にしながらもご飯を一生懸命に食べているお父さん。美味しいご飯…手作りをあげる事ができて良かったです。サクピーさん、いつも本当に有難うございます<m(__)m>
その後、お母さん達の居場所を見つけたくてお父さんとサンカク君の追跡をしましたが、様子からして一緒には居ないと判断して、後を付回されて不安になっているお父さんとサンカク君に「付回してごめんね」と謝って追跡をやめました。
再びお母さん達の捜索
この私達の車の先にお母さんは居ます!お父さんとサンカク君の追跡を止め、また第1エリアへと戻り、原点から再びお母さん達の捜索を始めた私たち。探せど探せど見つからない時間が流れました。時間ばかりが経ち、その間、2度3度とシンさんの口から「もう戻らなきゃ…」と言う言葉が出そうになるのを感じていました。私達には待っている子達が沢山居ます。戻らなきゃ行けない事は良く分かっている…だけど、その言葉が出る前にと「もう1周してみよう」「もう一度あっちを見に行ってみない?」「通ってない道はない?」などなどと言いながらタイムアップも限界を超えた限界ギリギリまで探し続けました。そして泣く泣く帰らなければと認めた時、道行く先が行き止まりで、車をUターンさせました。Uターンした車のライトに照らされたその先にゼェゼェと息を整えているお母さんの姿がありました。まだ車が進んでいるその中で私は車を飛び降り「お母さん、お母さん」と喜びに涙しながら呼びました。お母さんは私達の車のエンジンを聞きつけ追いかけてきていたのです。いったいどこから走って追いかけてきていたのだろう?真っ暗で気付いてあげられなかった私達…。とにかく良く元気で無事に居てくれたとシンさんと二人胸を撫で下ろしました。他の子は?辺りを見渡しても誰も居ません。お母さん一人です。私はシンさんに「お母さんを捕まえよう。今保護しなきゃ!」と言いました。会えることを信じてお母さん達の為に取って置いた手作りごご飯をあげる準備と捕まえる準備をしました。だけどお母さんは、いつもと違いました。ご飯を貰いに来ないのです。お母さんは「ココではご飯をもらえないの。私について来て!」と目と体全体で私達に訴えてきました。お母さんはどこかに私達を案内しようとしている。それは子供達の居る場所に違いない。お母さんのその思いは十分に伝わってきました。シンさんと話し合った結果、ココでの保護は諦め、とにかくお母さんの言うとおりにしようと決めました。そして付いていこうとするとお母さんは「違う!車に乗って!」と訴えてきました。もちろんお母さんと話が出来る訳ではありません。お母さんの心の声を聞き取っているだけで、それは間違った解釈の可能性も高い物です。それでもお母さんに車に乗れと言われていると思った私達は車に乗り込みました。そして窓を開けお母さんを見つめると、お母さんは走り出しました。何度も何度も車を振り返りながら私達の車を誘導しています。お母さんを見失わないように必死に後を追いました。お母さんと車道との間に障害物がある時は私たちも、お母さんも、お互いを何度も確認し合っていました。私達が聞き取ったお母さんの心の声の解釈に間違いはないと確信しました。心が通じ合っているのです。曲がり角では私達の車が到着するのを待ち、次はこっちよ…次はこっちよ…と私達の車を誘導するお母さん。再び出会えた喜びと、この子のすごさに胸がつまって涙がこぼれました。お母さん、あなたはなんてすごい子なんでしょう。子供達を守り、仲間達を愛し、懸命に生きているお母さん。私達を信じ、何キロもの道を追いかけてきて、そして何キロもの道を誘導してくれている。その間、シンさんが「すごい。胸がつまる…」と言った言葉以外に私達に会話はなく、込み上げてくるお母さんへの想いに私は涙を止めることは出来ないでいました。
誘導してくれているお母さんです。この時、一度お母さんは立ち止まり私達をジッと見つめました。「お母さん、ココなの?」と私は車を降りようとしましたが、もちろんお母さんが案内しようとしていたのはココではないと感じ取っていました。お母さんは悩んでいたのです。本当に私達に居場所を教えていいのだろうか?と。お母さんの気持ちが、心の声が痛いほど伝わってきました。だから私はココでもいいと思ったのです。ココでお母さんにご飯を上げればお母さんは沢山食べて子供達の居る場所に戻り、それを吐いて子供達に与え、またご飯を胃に入れるために戻ってきます。だから「ココでご飯を上げようか?」とお母さんに言いました。お母さんはジッと私達を見つめ、そして誘導を続けると言って進みだしました。振り向きながら走るお母さんの後を追って私達は車を走らせました。
お母さん達の新居
そしてお母さんは子供たちと暮している新たな場所へと私達を導いてくれました。捕獲から逃れるために皆を連れて森の中に身を潜めていました。ヤツれて真っ黒になって懸命に生き延びようとしていました。

お母さん自身、何キロも私達を追いかけてきて何キロも私達を誘導して、どれほどお腹が空いている事か分からないのに…お母さんは子供達に先にご飯を与えました。お母さんの子供達を想う愛の深さ、偉大さ、その凄さ、この子の素晴らしさを改めて感じさせられる再会でした。

そして、この子達からお母さんを奪えない。この子達を残してはお母さんに幸せを感じさせてあげる事はできない。今日の保護を断念せざるを得ませんでした。もうこれ以上、この子を裏切る事はできません。子供達から保護すれば、きっとこの子は私達を案内したことを悔やむでしょう。お母さんから保護すれば、この子達のご飯を必死に調達してくれる大切な母犬を奪う事になり、お母さんは残してきた子供達の事を想い苦しむ事になるでしょう。
そしてご飯を食べたお母さんはいったん姿を消しました。これまで私達がお母さんが子供を生んでるはずだと言って来た事を覚えてくださっていますか?多分、その子供達の元へやっと胃に入れたご飯を吐いて与えるために姿を消したのだと思いました。
必ずもう一度お母さんは戻ってくるとしばらく待っていたら、そのまだ見ぬ子供達を連れて戻ってきてくれました。暗くて匹数は確認できませんでしたが4〜5匹はいたように思います。ハッキリとは分かりませんが黒母ちゃんが残してしまっている子供達をも一緒に面倒を見ているのではないかと思います。そしてどの子が誰の子か定かではありませんが現地に残しているサラちゃんやしょうちゃん、ビビちゃんや春ちゃんの兄妹が2匹か3匹いますので、お母さんは一人で8匹か9匹を守っているようでした。
お母さんはとてもお腹を空かせているはずなのに、自分で守り抜こうとしている子供達に全部あげてしまって、ほとんど食べていないのではないかと思います。私達の手元に残っているのはご飯を準備してくださったサクピーさんに動物ハウスの子たち用にいただいた老犬用のカリカリとミルクガムだけでした。だからそれを全部お母さんにあげました。子供達がしっかり食べた後なのでお母さんはパクパク嬉しそうに美味しそうに食べていました。
お喉も渇いているだろうと、お母さんに「待っていてね!」と精一杯つたえて、一度現地を離れコンビニに買出しに行きました。水入れ用のタッパとお水とパンを買って戻りました。私達が戻ると「ワンワン♪」とお母さん達は出迎えてくれました。しばらく聞いていない私達を迎えてくれる懐かしい声でした。お水とパンを置いてあげると、お水を喜んで飲んで、みんなでパンを食べていました。最後にしっかりお水を継ぎ足して、居場所を教えてくれたお母さんに心から「ありがとう」を言って帰りました。きっとお母さんは自分の力だけで全員分の食料を調達する事が出来ず、ずっと苦労を重ねていたのでしょう。だからきっと私達の車のエンジンを聞きつけた時、勇気を出して私達に助けを求めたのだと思います。居場所に案内してくれた理由がどんな物であれ、この子がとてつもない勇気を振り絞って私達に居場所を教えてくれた気持ちに傷付けずに応えてあげたいと思っています。私達を信じてくれた思いを裏切らずに応えてあげたいと思っています。お母さんが居場所まで案内してくれたから、もう探す日々にピリオドを打てるのです。今度からはお母さん達の居るこの場所に真っ直ぐに会いに来るよ。美味しいご飯を持って!お母さん、本当にありがとうね。一日も早くみんなを連れて帰ってあげたいです。この子達に安心して眠れる場所を…毎日のご飯を…喉の渇きを…その全てを満たしてあげたい。そして一日も早く幸せを感じさせてあげたい。早くこの夢が実現しますように。願いは願えば叶う。私達はお母さん一家の全頭保護を目指します!どうか皆さまも応援して下さい。お力を貸してください。宜しくお願い致します<m(__)m>

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