2007年5月14日
有料道路沿いで1匹の老犬を保護しました

福岡と唐津を結ぶ有料道路です。5/13、私は仕事と動物たちの世話を終えて深夜1時半に自宅へと帰り、老犬お兄ちゃんと束の間の時間を過ごしました。自宅で過ごせる時間は、いつも3時間もありません。お兄ちゃんの側で1時間半ほどのうたた寝を取って早朝4時半に自宅を出発して福岡市内のお世話をしている野良猫ちゃん達にご飯をあげに行き、そのまま唐津の動物ハウスへと走りました。午前11時には仕事の為、福岡に戻っていなくてはいけません。そのため一番金額の高い都市高速(600円)を除き2つの有料道路(350円と360円)を使用しました。朝6時、動物ハウスに到着して動物たちのお世話を開始。何とか朝のお世話が終わった時は、もう午前10時になっていました。みんなに「待っててね」と言い残し、世話が終わると同時にハウスを飛出し福岡へと向いました。有料を使っても、とても1時間では戻れません。こうして仕事の時間がズレズレになりながらも何とか仕事をやり遂げる毎日です。そんな時間のない中、有料道路を走行中、写真下のパーキングエリアに止まっていた1台のトラックの陰に犬の姿を見たような気がしました。気のせいじゃない…確かに哀れな姿の老犬が一瞬だけど見えた気がする。通り過ぎた後も気になり何度も引き返そうかと思いました。しかし、ただでさえ仕事に遅刻中の私。働かなければ皆を養えません。その後の予定も入っており、戻れば完全に仕事をキャンセルする事になる…心を鬼にしてそのまま仕事へと向いました。そしてシンさんに現地に行く事は出来ないか?と無理と分かっていながらも一応電話をして聞きました。しかしシンさんも仕事でお客さんの所に居ました。仕事をしながらも、ずっと、あんな場所に居たら今ごろ事故にあっているんじゃないか…と気なってばかりでした。急ピッチで仕事を終わらせ午後4時過ぎ福岡でシンさんと合流。動物病院へと向いました。土曜日に受け取る予定だった第2第3エリアの子達のお薬を受け取りに行ったのです。そして、どうしても気になるその犬を探しに行くため、そのまま有料道路を全部使用して現場に来て見ました。日が暮れる前に何とか到着でき、見かけたはずのワンちゃんを捜索。有料道路上にいたので交通事故にあって死んでいるかも知れない…今朝、私が仕事を諦めていれば…そんな思いと戦いながらあちこちを探しました。
パーキングの横の森の土手を上がると、そこはフェンスで囲まれていました。もう時間も経っているしココには居ないのでは?と言うシンさんの言葉をよそに私は捜し続けました。シンさんは有料道路上をまだ歩いていたら危ないから先に進んだ方がいいんじゃないかと。でも、森のその先に古いゴミではありましたがゴミを持ち込み荒らした形跡があったので、もう少し探してみたいと森の中へと進入。この森の何処かに身を潜めているのでは…と感じたのです。入れる場所は無いか探したけど通れる場所は無くフェンスを乗り越えて森の中へ。
下に道があるものの山の山頂で道の行き止まり地点。民家も無ければ、その道がどこから来ているのかも分からない使われていない古い道路のようでした。私が枯れ木を踏みバキバキいう音と、時折滑り落ちそうになりギャア〜と叫ぶ声の先に、微かなガサガサという音が聞こえました。「ワンちゃん、いるの?どこに居るの?出ておいで〜」と呼びながら探しましたが気配はなし。その後、息を潜めてジーッと待ってみました。すると静かになった事で警戒して身を潜めていたワンちゃんが様子を見に出てきました。あっ見つけた♪良かった〜と思ったけど、ワンちゃんは私がまだ居る事に気付いて逃げ始めました。このときは、捕まえる事は難しいな…と思いました。捨てられて時間が経過しているのでしょう、ガバガバにはなっていましたが、それでも首輪を付けているので、いずれは保護して上げられる日が来るとご飯だけはあげようと思いました。
この不法投棄されいる車を住みかにしているようでした。雨の日、雪の日、嵐の日、たった一人で孤独に耐えながら生きているようでした。ココを出ればすぐそこは有料道路。ビューンと走り去る車の音しか聞こえません。こんな場所に食べる物などありません。パーキングエリアと言っても、ただ休息するだけの場所でジュースの自販機ひとつ無い所です。この何も無い場所で、まるで、ココに置き去りにしていった飼主の車が通る日を待っているようでした。遠目に見たその子の姿は栄養障害を起こしているのか、山の中で皮膚炎を患ったのか、哀れでボロボロな年老いたワンちゃんでした。とても孤独で、寂しい瞳で、遠くから私を見ています。私が声をかけると遠くからかすれた声で威嚇して吠えます。出会ってしまった命、この孤独なワンちゃんを何とか救ってあげたい。心からそう思いました。
スーツに革靴で森の中に入れないシンさんは有料道路沿いで見守っていてくれました。シンさんはその道を探して車でそっちに行ったほうが良いのではないかと言いましたが、この道へ来る道順すら分かりません。こっち側に車を回すに越した事は無いけど日が暮れたら真っ暗になります。もう明るい時間も僅か…一度目を離したら再びこの子を見つける事が出来ないかも知れません。「捕まえられるか、やれるだけやってみるから」と車から犬缶とリード3本をフェンスの所まで持ってきて貰いました。
そして怖い思いをさせないため、追い掛け回さずにそっと犬缶を置いて私は立ち去りました。すると遠くから見ていたワンちゃんは恐る恐る出てきて犬缶を夢中になって頬張っていました。それは本当に久しぶりの食事であったのだろうと思います。道路まで舐めまわし犬缶が付いた枯葉までバリバリと食べていました。でも一度に沢山あげてしまうとお腹がいっぱいになって逃げてしまうので、私が近寄っても大丈夫だよと分からせるため少しずつ「お代わり」を置きに行きます。その繰り返しで少しずつ逃げる距離が縮まっていきます。
それを何度も何度も繰り返し、ご飯を置けば私は居なくなるのだと思ってワンちゃんの気が緩んだ瞬間に私は思い切ってこの子を捕まえました。もちろん噛み付かれましたぁ(^_^.)でも、噛み付いた瞬間にこの子は力を緩めてくれました。怖いはずなのに…本気で噛み付くのをやめたのです。「ありがとう」おかげで歯形はバッチリ付きましたが血は一滴も流さずに済みました!保護大成功です!
捕まえたのは良いけど、この子を連れてココを登り、フェンスを乗り越えなければ車まで辿り着けません。足場も悪いため、私一人でも滑り落ちてしまって下まで来たのです。
抱っこしようと思って触れると噛み付いてくるし本当に途方にくれていました。私に捕まってしまったこの子はと言うと、捕まったことよりも犬缶を置いた場所を舐め回すのに必死(^_^.)まぁ元は飼われていた子なので野犬とは違いますよね(^_^.)野犬の保護の時のように大暴れする事はありませんでした。しかし警戒心は強くて近くに行くと、とても怖がり、触ると噛み付きます。
暗くなると怖いので何とかフェンスまで行ってシンさんに渡そうと、噛み付かれるのを覚悟でしっかり抱っこ!(もちろん抱っこした瞬間はガブガブ噛み付かれました)そしてしっかり抱え登り始めたのですが、途中まで行った物の自分ひとりでも両手が無ければ登れません。ワンちゃんを抱いてでは100%ムリでした。「おーい!おーい!」シンさんに救助を依頼。滑るので革靴を脱いで靴下でフェンスを越えて私が登りきれない所までワンちゃんを迎えに来てもらいました。「ウゥ〜」ワンちゃんの威嚇。噛み付きそうで抱っこできないと言うシンさん。噛み付くけど大丈夫だって!という私。でも結局抱っこできず、ワンちゃんを、リードを引っ張って私の腕から引きずりあげてもらいました。ワンちゃんを無事に渡した私は力尽き下までズルズル・・・と滑り落ちていきました(苦笑)
そして体勢を整え登りなおし!ワンちゃんもシンさんに付いてフェンスまでちゃんと歩いていっていました♪
そして無事にフェンスまで到着。フェンスの向こうでワンちゃんを受け止めるために私が先にフェンスを越えました。そしてワンちゃんを渡してもらおうと思ったけど、やはり威嚇されて抱っこできないシンさん(^_^.)

ワンちゃんならフェンスの下を潜れるくらいのスペースがあるので、下からリードを渡すからそっちから引っ張って…とシンさん。あんまり怖い思いをさせたくない私は車に犬缶をとりに行く事に。
そしてフェンスのこちら側に犬缶を置いてあげると犬缶食べたさに負けてフェンスを潜って出てきたワンちゃん!(ほっ)
こうして有料道路沿いまで戻ってきました。ココで逃げられたら大変です。しっかりワンちゃんを持って、あとはマリンが乗って待っている車まで一緒に土手を滑り降りましょう!
無事に一緒に車まで来ました♪
ワンちゃんを乗せる場所作り。ご寄付で頂いたばかりのサークルを組み立て中です。
車に乗せる準備が出来る間、ワンちゃんを観察。顎、首周り、下半身の毛が抜け落ちていますがダニ疥癬の感じではありません。お顔は背けてしまって、なかなか見せてくれません…。
ご寄付で頂いたばかりのサークルは組み立てて見るとワイドで横幅のあるサークルでした。そのため組み立てると車に乗らなかったので、後部座席に積んで、ワンちゃんは中でリードをしっかり繋いでそのまま後ろに乗せこみました。でも逃げ出す気配なし!じっと車に乗っています。
動物ハウスに到着した私達はこの子のスペース作りを開始。体のサイズに合わせて、ご寄付で頂いた大き目のケージをハッピーちゃんに、そしてハッピーちゃんの使っていたケージをこの子用にしました。この写真に写っている光はなんなのでしょうか(コワッ)
ハッピーちゃん新居に入室♪高さが出来て快適になりました!ご寄付で頂きました全ての物は大切に使わせて頂いています。本当にありがとうございます。
準備が整い車庫部屋ルームに向います。なんだか沢山ワンちゃんが居るみたいだけど???と不思議そう&ちょっぴり怖そうな新入りワンちゃん。
ガバガバでボロボロになってしまっている首輪をご寄付で頂いた首輪に新調中です。
山の中に居たのでダニさんが・・・。ノミダニ駆除剤を滴下しました。
男の子だけどピンク色の首輪です♪少し立派になりました。
クックちゃんの横にケージを設置。何とか無事に動物ハウスに迎えることが出来ました。この子が今日までどんな人生を歩んできたのかは分かりませんが、人間と目を合わせることが出来ない。そして以前に保護した殴られると言う虐待を受けていた子と同じように、私達の手が動くと目をつぶり頭を地べたに付くまで下げて小さくなり震えています。どうして我家には人に慣れた子が来ないのだろう?人間不信ちゃん揃いです(^_^.)この子はきっと、どんなに人間が怖くてもどこかで人間を頼らなければ生きていけなかったのだろうと思います。何も無いパーキングエリアですが、わずかにそこに止まる車がきたら餌を求めて出て来ていたのではないでしょうか。ひとり孤独に廃車の中で生き延びてきたこの子にポケット君と言う名前を付けてあげました。不幸いっぱいのお顔をしています。ゆうに10歳は超えていると思います。残りの人生は幸せ一杯に過ごして欲しい。素敵な里親さんとの出会いが訪れますように。

この子を幸せにしてくださる方・・・ぜひ里親希望のお申し出を下さい。宜しくお願い致します。里親希望の方はこちらへ

この子の保護に向う前に動物病院で本日購入してきました北九州第2第3エリアのフゥ君・チィちゃん2・まゆちゃん2・仔犬4匹、合計7匹分のニキビダニ(アカラス)とダニ疥癬のお薬です。野良ちゃんの分と言うことで、かなり安くしていただいていますが2万円の支出です。毎日与える事が出来ないため薬の効果が得られる可能性はとても低いのですが捕まえる事ができない以上、今できる精一杯の事をしてあげなければ…と思っています。

金銭的にとても苦しい状況でやりくりしながら活動を続けています。どうか皆さま応援して下さい!宜しくお願い致します<m(__)m>

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