2007年6月17日
雀さんを保護しましたが・・・

飛ぶことが出来ず片側3車線という大道路の真ん中で車に轢かれそうになっていた雀さん…。朝の5時に発見しました。慌てて車を止めましたが目の前で走ってきた車に接触・・・。車の通りが落ち着いてから急いで雀さんの元へ行き、道路わきに運びました。野生動物の保護は慎重に行わなければなりません。本当に保護の必要があるのか?人間に捕まったことで加わるストレスはとても大きいのです。これまでも傷付いた野鳥を保護してきました。交通事故や罠に掛かっていた鳥類など瀕死の状態の子達の保護ですが、野生動物で治療が上手く行き自然に返してあげる事が出来たのはタヌキが1頭、カラスが2羽、トカゲが1匹、ツバメが1羽、コウモリ1羽、あとはみんな(雀・鳩・百舌鳥・タヌキ)亡くなりました。この子もまた保護の必要があるのか、とても悩みました。走っている車と接触しているので、とても心配でしたが大丈夫のようでした。もちろん大丈夫でなければ保護しなくてはいけないけど、出来る限り人間が手を出さないことが1番です。福岡の中心地で、土や緑と言えばマンション前の小さな植え込みくらい。外傷がない事を確認してから、そこに置いて、しばらく様子を見ながら考えました。周りには沢山雀さんがいましたので、その中に親鳥もいるだろう…外傷もないように思われたので人に捕まる(保護する)より自然の方が助かる可能性が高いと思い、一度目はその場を離れました。

そして朝8時、自宅を出発して仕事に向かう途中、その雀さんがまた道路の真ん中でうずくまっているのを発見。また車に轢かれそうになっていました。お母さん雀と思われる子や仲間の雀たちもそこへ来るので、みな車にぶつかりそうになっていました。何とか寸前に保護。また道路わきに運んであげましたが弱っている様子。また車と接触してしまった可能性もあります。早朝に見た時よりだいぶ力を失っていて、立ち上がることも出来ず道路の真ん中でうずくまっていました。車の運転手が気付かずに避けてくれなかったらペッチャンコです・・・。何度も車に接触しそうになって危なかったこと、この状態ではカラスか猫に見つかったら最期だろうということ、近くに移動させる安全な場所がないことで保護に踏み切りました。
急いで鳥籠や餌などを購入しました。
家に連れて帰って食事などのお世話を・・・。しかし、だいぶ弱っていて少し小鳥用の給餌器で本当に少しだけ水を飲んでくれただけ・・・。
やはり動きません・・・。
この子はまた違う雀さんです。今回保護した雀さんを連れて帰っている際に車に跳ねられて目の前で亡くなった子です。あまりに衝撃的で私は足が震えました。何事も無いように通り過ぎていく車・車・車…道路に横たわった雀さんを何とか助けてあげられないかと私は車を止め救助に向かいました。しかし雀さんは即死だったようです。まだ温かい体を抱きしめ、埋葬してあげるために連れて帰ってきました。今日はスズメデーのようです・・・。
ドックフードをふやかした物、小鳥用の物、数種類の餌をあげてみますが、なかなか食べてくれません…。すり鉢ですって離乳食状にした物を少しだけ口にしてくれた程度でした。助かる見込みがあれば動物園(動物園は野生動物を引き受けてくださいますが自然界で生きていけないと判断された場合は処分となります。その判断を聞くことも処分の際にはこちらで引き取ると言うことも出来ません。)野生動物を診てもらっている獣医さんも目立って外傷が見当たらないのであれば餌を与え今日は様子を見るようにとのことでした。外傷が無いからといっても全然元気が無いのですから安心は出来ませんが、大きな異常は見受けられません。ご飯を食べて元気が戻れば…動く力が出てきたら…親元に返してあげられる…とにかく頑張るしかありません。
何とかしてあげたい。この子を助けてあげたい・・・。

里子に出たマルチーズのリュウ君の里親様は多くの鳥さんを救ってこられている経験がおありで、リュウ君を迎えていただく前まではずっと雀さんと共に暮らしておられたので、食事を思うように取ってくれない事に困り果てた私は里親さんへ何度も電話をして雀さんの育て方など沢山のアドバイスをしていただき、ご指導いただきながら一生懸命に頑張ってみました。雀さんの持ち方、食事の種類、食べさせ方、くちばしの開け方、与える量、本当に多くの事をリュウ君のママから教わりました。学びました。リュウママから頂く一言一言はとても貴重な物となりました。何度も何度も電話をする私に、これまで、これほど詳しく、丁寧に、指示を出してくださった方はなく、リュウママの知識、そして存在は、本当に心強かったです。リュウママ、本当に有難うございました<m(__)m>
体を温めて、何とか少量ではありましたが食事を与える事が出来ました。立つことも出来ないでいた雀さんが指に捕まってくる力が少し出てきて、一度は「助かる!」そう思ったほどでした。
しかしそれ以上に元気が出ることは無く、食事を飲み込む力も本当になくなっていきました。とてもキツそうな仕草になってきました。私はただ、少しでも…と、餌を与える努力しか出来ませんでした。
そして夜遅く天国へと旅立っていく雀さんを見送りました・・・。
今日は2羽の雀さんのお通夜となりました・・・。

野生動物の保護の難しさに、いつも胸が痛くなります。特に野鳥は保護しても助かる可能性が非常に低いのです…。人間界でストレスを与えるより、やはり自然界に置いておくべきだったのか?それとも、まだ元気があった朝5時に発見した時点で保護するべきだったのか?2度目に会ったときは弱っていました。でも、やはりこの子を育てられるのはお母さん雀しかいなかったのではないかと…色々考えてしまいます。どんな道を選んだとしても、亡くなってしまったら後悔しか残らないでしょう…。ただ、どんな道を選べば助けてあげることが出来たのだろうか?と考えずにはいられません。この子を無事にお母さん雀に返してあげることが出来なくて、きっとお母さん雀も心配しているだろう・・・と思うと・・・。

街中でも、もう少し自然が残っていたらいいのに…高いビルに高いマンション、辺り一面コンクリートの道路、車に人に…人間だけが便利に快適に生きていけるように作られていく地球…動物達はどうなっていくのでしょう?この人間社会で、いつも犠牲になっているのは物言えぬ動物たちのように思えます・・・。もう少し自然が残っていたら・・・と思わずにはいられません。
翌日の6月18日。
助けてあげることが出来なかった2羽の雀さんたちを寂しくないように一緒に埋葬してあげました。止まり木とお線香を立ててあげました。天国ではたくさん大空を飛び回ってね。いつでもココに止まれる場所はあるよ。天国の仲間達といつでも遊びにおいでね。チュンチュン♪と鳴いてくれた時、すごく嬉しかったよ。ありがとう。助けてあげることが出来なくてごめんね・・・。お母さん雀の元に返してあげることが出来なくてごめんね・・・。二人のこと、ずっと忘れないからね。



・・・また会える日まで・・・天国で幸せに・・・

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