2007年6月21日夜中
里親募集中の赤ちゃん猫を引き取りました

緊急里親募集中の赤ちゃん猫を保護している保護主さんから携帯電話に着信が残っていたのが21日夜10時40分。私が着歴に気づきお電話したのが深夜12時前後でした。

お話を聞くと2匹の赤ちゃんのうちの1匹が全くミルクを飲まなくなったのでどうしたら良いのでしょうか?というご相談でした。保護主さんは保護当時、こちらでの保護を依頼されたのですが、小さな赤ちゃんを置く場所が無い訳ではない事を伝え、理由としては、乳飲み子を抱えると私が仕事が出来なくなるので、何とかご自身で頑張って欲しいとお話しました。ゴミに出された小さな赤ちゃん達のSOSの鳴声に気付き、ゴミ袋の中を探し救助した保護主さん。赤ちゃんは、ちょっとした事で命を落としますので、赤ちゃんの育て方をお教えしましたら、ご自身でもちゃんと調べておられ、必要な知識は学んでおられました。それから今日まで3週間、頑張って育てられてこられました。そして今回、保護主さんから赤ちゃんがミルクを飲まなくなって赤ちゃんはグッタリしているとのSOSが入りました。まずは、保温しているつもりでも体温の保持が出来ておらず体温が低下しているのではないと言うことを伝え、とにかくすぐに体温を上げること。オシッコ・ウンコは出せているのか?等を聞き、体温が低下したり、ミルクの時間を数時間遅らせただけでも赤ちゃんは命取りになることを再度お伝えしました。色々お話をしましたが、ミルクを飲まなくなったのは昨日の朝からとのこと。もうすぐ丸2日になろうとしていました。状況を聞いて、時間が経ちすぎているのも合わせ助かる可能性は僅かだろうと思いました。とにかく付き切りでハチミツなどの糖分を入れてミルクやポカリスエットを飲ませること。病院へ連れて行くことなどアドバイスしましたが、保護主さんは学生さんで、1日4回くらいしかミルクをあげれないし、病院へも連れて行けないとのこと。小さな命がかかっていますので急遽こちらでお世話をする事に決めました。しかし、その時間、私は唐津の動物ハウスで翌日の準備(希望ちゃんを里子に出すための準備と第2第3エリアの疥癬の子をセンターに迎えに行く準備)に追われていました。赤ちゃん猫がいるのは福岡市内。とにかく佐賀にいるため迎えに行けるのは何時になるか約束は出来ないけど夜中の間には迎えに行くので、それまでは寝ないで頑張ってスポイドででもミルクを飲ませて下さい。と保護主さんに頼みました。保護主さんは私が迎えに来るまで夜通しでも頑張りますと言って下さり、私たちは少しでも早く迎えにいけるよう翌日の準備を中断しハウスの子達のお世話だけ終わらせ、赤ちゃんを迎える準備をして、一旦、福岡へと向かいました。
写真上、赤ちゃんを迎えるためにホッカイロで保温したキャリーバック。
写真下、唐津を夜中1時42分に出発。
夜中の3時40分 到着
赤ちゃん達を引き受けましたが、思ったよりも状態は悪く今晩持つかどうか・・・と言った状態でした。保護主さんに、助けてあげることは極めて難しい状態であること、今晩亡くなってしまう可能性も高い事を了承いただいた上で、そして精一杯助ける努力はすると言うことを伝え、赤ちゃん達を一旦引き受けました。しかし、意識はほとんどないような状態で支えていないと首もダランと下がってしまうほど弱りきっていました。ここから救うのは至難の業、しかし助かる可能性が0%なわけじゃありません。とにかく今晩が勝負です。
預かってすぐ、まずは吸収が早いポカリスエットを本当に1滴ずつ流し込みました。口の中を確認。写真左の口の上に付いている白い塊、口の中(上顎)に付いている白い塊、分りますか?ミルクの成分が固まり喉に詰まっていた物です。口の中を傷付けてしまわないように少しずつ取り出していきました。
もう1匹の子はしっかり元気な様子です。ただいつどうなってもおかしくない年齢です。お母さん猫がいない赤ちゃん達はちょっとした事が命取りになるのです。3時間に1回はミルクを与えなければなりません。保温は完璧にやらなければ体温低下は命取り。だからと言って暖めすぎると低温火傷を起こしたり脱水状態に陥ったりします。人間が育てると言うのは本当に大変なことです。

保護主さんに頂いたこの子たちが飲んでいたミルクが赤ちゃん用の粉ミルクではなく子猫用の牛乳だったため、栄養が不足している可能性が高いので、弱っている子と同じ、高栄養のミルク・ポカリスエット・ハチミツ入りを飲ませました。
元気な子の方は丸くなって寝ていますが、弱っている子の方はグッタリ倒れたまま・・・。
写真では分りづらいですが、弱っている子は、手の肉球、尻尾、オチンチン、お尻、全てがすごい炎症を起こしていて、ただれて腫れ上がっている状態です。手の肉球や陰部は通常の3倍〜4倍ほどに腫れあがっていました。元気な子に吸い付かれていたそうです。それはミルクを与える間隔があき過ぎているためお腹が空いて良く起こる現象です。こうなる前に、こまめにミルクを与えることで防げます。この子は兄弟に陰部を吸い付かれる事で尿が出ていたと思われます。その尿で濡れてしまったタオルなどの上で過ごしたことでお腹側の皮膚も全体的にかぶれていました。濡れたままにしておくのは体温の低下にも繋がるので気を付けて上げなければならない事の一つです。
吸い付き癖がついているので、二人をダンボールで仕切って分けることにしました。
元気な子は2時間〜3時間に1回ミルクを。弱っている子は1時間から1時間半置きにミルクを。弱っている子は飲ませなければならない半分の量を与えるのにも1時間20分から1時間30分かかる状態です。しかし夜通し行い続け、なんとか命が持っています。ボンヤリしたままで一度もハッキリしなかった瞳も数度ほど目を開け、そしてこちらを見たり、ぐったり動けなかった手足を動かしミルクを飲むのを抵抗する動きを見せるようになりました。寝る体制も倒れたままではなくなりました。助かるかもしれない!この時初めて感じる事ができました。一度ミルクを飲む力を失った子が再び飲めるようになる可能性は本当に低いです。弱っていくスピードも驚くほど早いです。そのままでは直ぐに死んでしまいます。だからミルクを飲まなくなったときは様子を見ている時間はありません。すぐに適切な処置をしなければ、弱ってからでは、時間が経過してからでは、どんどん難しくなっていきます。まだ元気がある間に、体力がある間に、対応しなければなりません。弱ってしまう一番多い原因は体温低下です。まずは体温を戻してあげること。ミルクさえ飲ませることが出来れば助かります。どれだけミルクを飲ませることが出来るか?どれだけその子がミルクを受け付けてくれるか?それに掛かっています。ミルクを飲まなくなる原因は他にも沢山あります。便秘であったり、熱があったり…少しでも体調がおかしいよういであれば獣医さんに診てもらいましょう!そしてご自身でお世話できないときや、必要量ミルクを飲ませることが出来ない場合も、体力があるうちに獣医さんに連れて行きましょう!
赤ちゃんを抱えたら置いて出かけることは出来ません。仕事・活動・自宅・動物ハウス・全て一緒にいて世話をしてあげなければ小さな命の灯は消えてしまうのです・・・。熱湯をを入れた水筒・数回分の作ったミルクを入れた水筒・はちみつ・粉ミルク・ポカリスエット・哺乳瓶・スポイド・ティッシュペーパー・コットン・ペットシート・ビニール袋・予備のホッカイロ・タオル類、どこへ行くにも必要なものを全て持って出かけます。
保温もしっかり、準備した赤ちゃん用品を持って赤ちゃんたちも一緒に出かけます。
車の中では、元気な子の方を先にお世話します。オシッコを促がしてやり、便が出ないかやってみて、ミルクをあげてから寝かせます。
弱っている子の方は1滴ずつ入れていきますので1時30分ほどかかります。器官に入ったり逆流して喉を詰まらせたりしないように、ゆっくりゆっくり与えていきます。頑張れ赤ちゃん!必死に助かることを願ってお世話を続けました。しかし・・・。
22日夕方4時前 天国へ旅立ってしまった赤ちゃん
時々しっかりした瞳を向けてくれたり、最初はグッタリで自分では全く動けなかったので、低温火傷を起こさないよう、小まめに寝返りを打たせたり、体温を見ながら温かい場所からそうでない場所に、そうでない場所から暖かい場所にと動かしてあげなければならなかったのが、自力で動けるようになって自分で移動するようにもなりました。倒れたままの形から丸くなって寝れるようになったり、体力がないので声はほとんど出ませんが、本当に小さな小さな声でしたが鳴くようにもなりました。明るい兆しもあり、きっと助かってくれる♪そう信じて、そう願って頑張ってきました。もうすぐ病院だったのに・・・眠るように息を引き取りました・・・。
まるで生きているようです・・・。

私はこの子を生きたままゴミに出した人間が許せません。今まで何度も生きたままゴミに出されていた子を救助してきましたが、なぜ?こうも簡単に「大切な命」を「物」のように扱う人間が後を絶たないのでしょうか…。母猫を失った赤ちゃん、どうやって生きていけばいいのですか?赤ちゃんを奪われたお母さん猫はどんな気持ちでしょう…。きっとミルクを飲んでくれる赤ちゃんが居なくてお乳がパンパンに張っているでしょう…そのミルクを飲むことが出来れば今も元気に育っていたはずなのに…。こんな不幸が繰り返されないよう、避妊・去勢を行って欲しいです。
もう1匹の子は元気にミルクを飲んでいます。
眠るように天国へ旅立った赤ちゃん。悲しくもお通夜となってしまいました…。
短い時間だったけど、生きよう!と、よく頑張ってくれました。天国では沢山幸せになってねっ!
短い時間だったけど、私はこの子のお母さんになりました。私の元で天国へ旅立っていく子達はみんな私の大切な家族です。大切な子供を失った気持ち、見送る気持ち、つらくて言葉に出来ません。

先日埋葬したばかりの雀さんの横に埋葬してあげました。
天国では沢山ミルクを飲んで元気に大きくなるんだよ!そして、大きくなっても雀さんと仲良くするんだよ!



天国ではたっくさん幸せに・・・お空でまた会える日まで・・・

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