2008年1月5日

北九州第3エリアの疥癬のママ犬『ゆいちゃん』が逃走しました
及び北九州エリアのご報告


とても心苦しいご報告をしなければならなくなりました・・・。

1月5日午後1時・・・ゆいちゃんに逃げられました。北九州第3エリアの疥癬親子のママ犬です。

保護して約半年、この半年間、可能な限りのケアをしてきました。疥癬の感染を防ぐために最初の2ヶ月近くはケアと言うケアは行えず、その後のこの4ヶ月も精一杯のケアには当たってきましたが、ゆいちゃんだけのケアに専念できる状態ではなく、まだまだ心を開いてくれる様子はありませんでした。人間が見ていると食事もしない、もちろん手からオヤツを受け取ることもない、ハウスの仲間たちとも交流を持てない、持とうとしない、ただ少しずつ本当に少しずつ散歩の訓練にもミクロな成長を見せてくれて、保護当時にはガリガリだった体もふっくらと太り、ご飯も毎日きちんと平らげ、目をそらす事が少なくなり、あと1年ケアを行えばグンと良い子になるだろうと思っていた矢先でした・・・。

年が明け北九州エリアのチィちゃん2がカラスにつつかれるほどに弱っていたと言う情報の報告を受け、死んでしまったのかも知れない…と言うほど姿を消している状態ではありますが何とか見つけて助けてあげたいと思っていました。悲しい事実ではありますが元気な状態では捕まえることは不可能です。弱っている時が保護できるチャンスなんです。とにかく現地に行き、チィちゃん2を見つけ、保護が可能な状態であるか判断して、助けられるものなら助けてあげたいと本日は現地へ行く予定で動いていました。

お世話と活動で仕事がまともに出来ていなかった私は午前中は仕事を入れていました。現在の匹数は仕事を持った二人が仕事をしながらお世話が出来る頭数を遥かに超えている状態です。そのため仕事の時間が持てるように1匹でも素敵な里親さまに出会えるようにとハウスの子達の里親さん探しも頑張っていました。僅かな睡眠時間もクックちゃんの捜索にあて心身ともに私もシンさんも限界の状態でしたが、それでも今、助けを必要としているであろうチィちゃん2を救ってあげたい。もちろんまた疥癬の子を迎えるのは勇気のいることです。しかし、とにかく生存だけでも確認したい。安定剤をかけるのは非常に難しい相手だけど状態を確認し、何が可能なのかを、救える道を見つけてあげたいと、そんな思いで必死でした。だから今日は何としてでも北九州へ向かえる時間内にハウスの子のお世話に…と急ピッチで仕事を進めハウスへと向かいましたがタイムアップ。シンさんにお世話を開始してもらいました。

そして、ハウスに到着したときにはシンさんが逃げてしまったゆいちゃんを死に物狂いで探していました・・・。

人間不信でケアが必要な子達のお世話、2人でも限界状態の中なのに、北九州へ行こうとシンさん一人にお世話に当たらせてしまったのです。逃げて当然だったかも知れません・・・。

ゆいちゃんは繋いだままだったリードを、やっとやっと首元に手を出すことが出来るようになり、お散歩時にリードをつける、ハウスに戻ったら外す、と言う段階に入ったばかりの時でした。バリケンを開けてリードをつける作業はかなり危険です。もし2人いれば逃げる行動には出なかったと思います。野犬ちゃん達は人の人数まで良く考えています。現地でも一人だったら近寄ってくる、しかし2人いたら近寄ってこない、警戒しなければならない人数が多ければ多いほど警戒心が強くなるのです。一人だったらその人の手の動きにだけ注意していれば良いということなのです。バリケンに入る人とバリケンの外にいる人がいれば向かっては来ないのですが、一人交わせば逃げられる!と分かれば実行します。

それを実行したゆいちゃんはイメージトレーニングでもしていたかのように2重に網を張っているお庭の網を絡まることなく乗り越え、その網のせいで先に進めないシンさんをよそにあっと言う間に2つ目の網を超え裏山へと姿を消したそうです・・・。

人間不信が改善されていない状態だからこそ逃げ出されたのですが、人間不信な状態のままであるという事は自ら戻ってくることはあり得ないと言う事になります。

動物ハウスが福岡のままだったら救えていない命ですが、もしも福岡だったなら戻ってくる可能性も捕まえる事が出来る可能性もあるのですが、現実にここで逃げられたら可能性は極めて低くなります。福岡なら周りのほうが騒々しく外の方が人間だらけで動物ハウスが安全な場所になるのです。しかしココは動物ハウスが一番人がいて、周りは広い緑で人気もなくとても静か…外の方が安全だと思ってしまうのです。人気がない…と言う事は目撃情報も入らない。特に人目を避けて生きてきたゆいちゃんともなれば捜索のチラシの効果も期待できません。誰かが目撃するほど人自体もいないのです…。

救った大切な命、私達が運命を変えた子、決して不幸にするわけにはいかないと必死に捜索していますが時間が流れるばかりです。全く気配もありません。山に潜んでいるのだろうか?少しでも遠くへ逃げようとまっしぐらにどこかに走り去ったのか?ご飯も食べれていないはず…と心配は大きくなるばかり。特に第3エリアの子たちは人間不信度が異常に凄く、人にご飯を貰おうとはせず人から隠れて生きてきた子達です。だからこそ現地の第3エリアでは多くの子が餓死してきました。

半年間、しっかりご飯を食べてきたゆいちゃん・・・お腹を空かせて帰ってくる勇気を持ってくれればと願いもしますが人間不信度を考えると可能性は皆無と言ってもいいと思っています。

同じく逃走中のクックちゃんは人が多い福岡で生まれ育った事で捕まえることは困難な人間不信ですが人前を平気で歩く事ができるため姿を確認することも情報を得ることも出来ていますが、ゆいちゃんはそうはいきません。ハウスにいる第3エリア出身のまゆちゃん・モモちゃん・いよちゃん達と同様に人の気配を感じたら息を潜めて茂みに隠れるでしょう。この子達は私たちからは隠れませんし逃げてもハウスに帰ってきます。でもゆいちゃんはまだ私たちの事も嫌いなままで逃げていますので、見つけるのはとても大変だと思います。

ただ絶対に見つけてどんなに時間がかかっても餌付けに通い続けてでも保護をしなければ…と思っています。

しかし見つけることが難しく考えれば考えるほど辛くなります。本当に見つけられるだろうか?不安でたまらないし、現実を直視するのが耐えられない精神状態になっています。

私は精神的苦痛から持病の偏頭痛で脳みそを締め付けられる痛みから逃れられなくなっています。逃がしたシンさんは絶えられない胃痛に襲われ神経性胃炎になっています・・・。

ゆいちゃんがせめてハウスに、第3エリアのボス犬だったサム君が直ぐ近くに居る事を、そのサム君が私たちを信頼している姿を確認できるほど心に余裕が持てるまでに成長していれば…そこまでケアが出来ていたら…と悔やんでばかりの毎日です。

でも現実は人間不信の子が人間不信のまま逃げてしまった。簡単に見つけられる子でも捕まえられる子でもない。大変な事が起きてしまっているのです…。どんなに辛くてもその現実を受け止めクックちゃんもゆいちゃんも必ず連れて帰る!そして幸せにする!それだけはやり遂げなければと強く強く思っています。

長年、野犬と呼ばれる人間不信の子達とばかり付き合ってきました。どんなに細心の注意を払っていても、逃げられた経験はたくさんあります。その度に同じ気持ちに苛まされてきました。でも逃げられた全ての子の再度保護に成功してきました。神様はいる!必ず頑張れば報われる日が来ると信じて見つけ出すまで捜索し続けます!

もう一度、幸せにするチャンスを、もう一度、私達に心のケアをさせてもらえるチャンスを、どうか神様が私達に与えてくれますように!

このようにご心配ばかりおかけしてしまって本当に申し訳ありませんm(__)m

クックとゆいちゃんを連れて帰るということに集中していきたいと思っています。チィちゃん2の救助については、この状況で、このゆいちゃんよりも人間不信度が高く、かなりの治療(このエリアの子が持つ病気は疥癬・バベシア・アカラス・衰弱・栄養失調・肝臓・貧血・マンソンは全員がほぼ全てを持っています)を要し、第2第3エリアの子の保護は動物ハウスの子たち全頭への疥癬の感染の覚悟が必要です。また心のケアにかかる時間も大変な月日を要します。今現在、チィちゃん2を保護して幸せにしてあげられる力は、やはり無いのではないかと感じています・・・。

ただそれでも簡単に諦められる気持ちにはなれず、私達と同じように2年以上この子たちを追っている動物管理センターの方とも連絡を取り合いました。しかしセンターの方も第2第3エリアのフゥ君とチィちゃん2の姿は全く確認できない状態にあるとのことでした。第2第3エリアはゆいちゃんを最後に捕獲には入られていません。第1エリアの方では捨て犬かお母さんが残して来た子供の姿が確認されているのか?新しく3頭くらい増えていると言うことでした。第1エリアはまだ捕獲要請(苦情)がセンターに寄せられているため捕獲は続いています。

また北九州エリアに行ってくださっている会員さまが13日、14日にもエリアに行ってくださっています。13日には第1エリアで仔犬の姿を1匹確認されています。この子犬ちゃんも逃げて捕まらないと言う事でした。この子の事が気になって会員さまは翌14日にもエリアに行き、14日には仔犬の姿を確認後、第1エリア近郊で今にも死にそうなワンちゃんを発見され、その後直ぐに捨てられたと思われるお母さん犬の姿も確認されています。捨て犬が後を絶たない現状が又新たに野犬の群れを作っていくのです。

限られた時間、1日24時間と言う時間しかない中で、仕事をして、60匹を超える動物達のお世話、心のケア・リハビリ、実際に逃走犬の捜索に当てられる時間は多くは無いのが現状ですが必ず2人を連れて戻りたいと思っています!

年始からこのような悲しいお知らせとなってしまい本当にすみませんでした。

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