知ってほしい・・・救えない「命」があること・・・
2006年3月10日 北九州市動物管理センターにて撮影
2006年3月15日 
殺処分 
管理センターには数多くのワンちゃんたちが死刑になる恐怖に怯えながら、救いの手を待っています。私達がどんなに頑張っても、どんなに血の滲むような努力を重ねても…そこには沢山の救えない「命」があります。せめて出会ってしまった子達だけでも助けたい…そんな思いで頑張っています。でも、私達がたった2人でどんなに努力しても救える命はほんの少し。どんなに泣いても喚いても…諦めなければならない「命」がある。目の前にある現実と戦わなければならないこの活動の苦しさ悲しさ、救いたい命を目の前に手も足も出せない、ただ「救ってあげられなくて、ごめんね、本当にごめんね…どうか苦しまずに天国に行けますように…」と謝る事しか祈ることしか出来ない無念さ。救えた「命」よりも、その裏側にある救えない「命」の多さを、皆さんにも知って欲しい。この親子が生きて最後に残した私達人間へのメッセージです。
殺処分された沢山の「命」の中から
お母さん犬が自らが犠牲になっても守ろうとしたわが子への想い
忘れないで!この子達が生きていたことを・・・
この親子に突然「捕獲」という恐ろしい魔の手が忍び寄りました。みんな自分の命を守るのに精一杯です。このお母さん犬は恐怖の中、それでも子供達を守ろうと、捕獲員から逃げ出さずに、捕獲員の前に立ちはだかり、自分の身を犠牲にしてでも子供達を守ろうとしました。お母さん犬の首に捕獲の手がかかりました。お母さん犬は子供達に叫びました。「今よ。逃げるのよ。早く行きなさい。逃げるのよ。お母さんは大丈夫だから、さぁ早く行きなさい。さぁ早く逃げなさい。」だけどまだ生きる術を知らない子供達は「お母さん・お母さん」とお母さん犬の側を離れません。そうして親子諸共、管理センターに収容されてしまいました。管理センターの中で死の恐怖と戦いながら「ねぇ?お母さん?私たちどうなるの?殺されちゃうの?」と震えながら子供達がお母さんに話しかけます。お母さん犬は自分が感じている恐怖を子供達に悟られないように押し殺し「大丈夫よ。お母さんがついているでしょ・・・」と優しく子供達を舐めてあげていました・・・。その目はとても悲しく儚い目をしていました。死を覚悟したこの母犬は、命を掛けて守ろうとした愛する子供達と一緒に、どんな思いで死んでいったのでしょう・・・亡くなるその時まできっと懸命に子供達を守ろうとしたに違いありません。どうかこの親子が天国で幸せになれますように。
管理センターの方に、捕獲の際にこのお母さん犬がどんなに子供達を守ろうとしたかを聞きました。私達はこの親子を助けよう…そう心に決めて、シンさんがこの親子に会いにセンターの中へ行きました。出てきたシンさんは「・・・」無言のまま…何も言いません。そしてようやく「親子全員、ダニ疥癬だった。ごめん、救えない」と言いました。私達には現在ダニ疥癬の子を隔離して置ける場所など1畳だって、いや半畳だってないのです。ダニ疥癬じゃなくとも親犬の置き場所などどこにもない状態なのは十分過ぎるほど分かっています。二人無言のまま数分が過ぎ、シンさんが言いました。小さなポメラニアンが収容されていた…様子がおかしいので病気かも知れないが、この子なら救えないだろうか?と。センターを出てから、殺処分を止める事が出来る3月14日まで、この親子とポメラニアンの4匹を救うための話し合いを続けました。ダニ疥癬、それは週に1回の注射を3〜4回受ければ完治する病気。ほんの少しの場所とほんの少しのお金があれば治る病気。他の子に感染さえしなければ救える命。私達はせめて、この母犬が命を掛けて守ろうとした子供達だけでも救えないかと努力しました。母犬の分までこの仔犬たちを幸せにしてあげよう…きっとお母さん犬も喜んでくれる。そう思い、救えないかも知れないと、こぼれて来る涙を拭いながら、助ける道は無いか探し続けました。でもたった4日間ではたとえ小さな仔犬でもダニ疥癬の子の保護スペースを確保することは出来ませんでした・・・。

助けてあげて欲しい…そんな依頼が多く寄せられますが、私達だけではどうする事も出来ないのです。こうして自分達が出会った命ですら、救うことが出来ないのですから…。この4日間、毎日毎日、活動を続けながらも溢れて来る涙を抑えることが出来ませんでした。救いたいのに救えない「命」がある。あと何日でこの子達が殺されてしまう…刻々と時間は過ぎるのに解決策は見つからない。諦めきれない思いと諦めるしかない現実の狭間で苦しみもがき、それでもガス室でもがき苦しみ死んでゆく動物達の方が苦しいのだからと…現実から目をそらさずに立ち向かってきました。諦めなければならない命がある、この壁を乗り越えることがどんなにつらいことか、知らずに済むなら知りたくない。見なくて済むなら見たくない。でもそれでは何も変わらないのです。みんなが心をひとつにして殺処分に「NO」と言える力を持ち、動物管理センターを動物達の殺処分場から、少しでも長く新しい飼い主を待って暮らせる施設へと変えて行かなければなりません。殺す方向から生かす方向へと導くのは私達国民の強い意志ではないでしょうか。可哀想と目をそらしていては、いつまでたっても殺されてゆく犬や猫達の数は減りません。小さなことでも皆さんに出来ることは沢山あります。周りの人に動物管理センターの現状を知らせること。避妊・虚勢の必要性を呼びかけること。ブランド物のバッグや靴を買う前に、動物達の命を犠牲にしてできた毛皮や皮製品を買う前に、迫り来る死に怯えている動物達のために何か自分に出来ることはないかと考えてみて下さい。動物を犠牲にしてできた製品を買わないことも、動物実験を行っている企業の商品を買わない事も、私達人間の気持ちひとつで簡単にできることではないでしょうか。私達の身の回りには動物の命を犠牲にして出来た製品が山のように溢れています。皮製品を買う前に本当にあなたにとってそれが必要な物かどうか考えてみて下さい。買えば買うほど動物達が犠牲になるのです。「買わないこと」私達に出来ることのひとつではないでしょうか。犬缶ひとつからでも、この子達を救う第一歩です。里親さんになることはひとつの大事な命を救います。一時預かりをしていただければ、いくつもの大事な命を救えます。動物達のために「あなたに出来ること」から始めてみて下さい。
ポメラニアンの死
この子1匹だけならもう少し無理をすれば、もう少し頑張れば、救えるはずだ。この子を救おう。そして親子の3匹のことを時間いっぱい考えよう。3月13日動物管理センターに電話。戻ってきた答えは「死んでいた・・・」でした。何が原因か、病気なのか?交通事故にあっていたのか?何も分かりません。この子が生きていた事を証明する最後の写真です。薄暗い冷たい鉄の檻の中、床は濡れていて寒さは増すばかり・・・「助けて欲しい」この子の悲しい瞳はそう叫んでいました。そんな場所で、たった一人で、この子はどんな思いで死んでいったのでしょうか。…寂しかったでしょう。…辛かったでしょう。恐怖の中で、小さな命は尽きてしまいました。かけがえのない命がまるで物のように扱われ、殺され、焼かれ、それでも何事も無かったかのように私達人間は平然と生きています。この子達を殺すのも人間なら、救うのも人間です。北九州市動物管理センターでは収容されて丸5日間が過ぎなければ引き渡してもらえません。それが決まり事だから、連れて帰らせてくれないかと頼んでもどうしようもないと断られます。もしあの日、この子を連れて帰れたなら…この子は命を落とさずに済んだかも知れません。たとえ助からない命だったとしても温かい腕の中で眠りにつかせてやれたことでしょう。
福岡市動物管理センターはわずか3日間で殺処分です。北九州市動物管理センターは5日間ですから土日を入れると殺処分まで1週間あります。この数日間の違いで飼い主さんの元に戻れる迷子犬も多く居ます。「決り事」私達が強く願い行動すれば変えていけるはずです。もっと動物達に生きるチャンスを。死んでいった数多くの「命」を私達は無駄にしてはいけません。悲痛な死を遂げたこの子達のためにも、これ以上、動物達を犠牲にしない生き方を選び、いつの時代か必ず動物管理センターが、ただ殺処分するだけの場所ではなくなるよう訴えていかなければならないと思います。動物を飼いたい人たちが動物達に会いに、自由に出入りできる施設に生まれ変わるべきなのです。仔犬達だけじゃない、成犬たちにも生きて幸せになれるチャンスを与えてあげられる社会を目指して・・・。

保護施設基金へご協力ください

ホームへ